静かなる情熱のピアニスト
「音楽に情熱を燃やしつづけること」、「心の中の焔を絶やさぬこと」
これはインタビューの際に世界的ピアニストで彼の祖母にあたる、故タチアナ・ニコラーエワのことに話題が及んだときにニコラーエフが引用した祖母の言葉です。
演奏する彼をみていると私の脳裏には高潔、清廉、高貴といった言葉が浮かんできます。きっとそれは彼が演奏するときに心がけているという、「音楽へ誠実に向き合い純粋な形で演奏する」ことや、「聴衆の皆さんに目が醒めるような瞬間をもたらしたい」という思いがそこに顕われているからでしょう。17世紀に西欧に現れて現在は、東の果てのこの日本まで広がったクラシック音楽の真価を彼は微塵も疑わず、そこに余計な虚飾は必要ないという強固な音楽への純粋な愛を奏でているようです。
彼の提案するリサイタルのプログラム・テーマは「Immersing―没頭」。静寂を支配するのは過去の偉大な音楽家、ラヴェル、ベートーヴェン、ラフマニノフの名曲ばかりです。ニコラーエフは今回のリサイタルをプログラム全体で一つの大きな絵のように感じて欲しいと言いました。作品と作曲家と演奏者と私たちとの裂け目の奥に描かれる一枚絵を照らしだすのは彼の中の焔で、その火を絶やさぬための燃料こそが彼が受け継いだ芸術そのものです。灯火に導かれ私たちも共にその深淵に歩を進めましょう。
文:アイエムシーミュージック
9/27東京公演チラシ
日時:2020年9月27日(日)午後2時開演
会場:東京文化会館小ホール 会場アクセス
チケット:全席指定 一般 ¥4,000 学生券 ¥1,000 セット券 ¥6,800
各プレイガイド:
・アイエムシーミュージック................ ☎03-6907-2535 Webチケット購入ページ